だれもが依存症になりうる
ここ数年で、多くの小中学生がスマートフォンなどの携帯電話(以下「スマホ」と表記)を利用するようになり、それに伴って様々な問題が発生しています。生活のあらゆる場面でスマホを手放すことができず常に気になっている状態は、スマホ依存と呼ばれます。道具であるはずのスマホに振り回されている状態です。以下の項目で当てはまるものが多ければ、それだけスマホ依存が強いと言えます。①寝る時に、スマホを枕元に置いて寝る。
②食事中でもスマホを見ることが習慣になっている。
③トイレに行く時に、スマホを持っていく。
④入浴の際、脱衣所にスマホを置いている。
⑤人と話している時も、スマホを触っている時間が多い。
⑥スマホが身近に無いと不安になる。
⑦近くにいる人のスマホが鳴ると、自分のスマホかと思いすぐに見てしまう。
⑧スマホを使ったSNSを毎日必ずチェックする。
スマホ依存は、自己抑制の機能が発達していない子どもがなりやすいと言われています。しかし、現代の生活では、プライベート・仕事・学校生活などで恐らくほとんどの人がスマホを毎日使っているでしょう。大人であってもゲームやSNSなどにハマり、スマホ依存になる可能性はもちろんあります。
スマホ依存によって起こる問題
スマホを長時間使用する生活が常態化すると、やがてスマホを見ていないと落ち着かず、仕事・勉強・家事などの最中にもSNSやウェブサイトの更新が気になって仕方なくなります。また、電波のない場所に行ったり、電源が切れたりといったスマホが利用できない状況に陥ると強い不安やイライラを感じることもあります。スマホから発せられるブルーライトに一日中さらされているため、不眠症になりやすくなります。不眠症になると疲れが取れず、気分も落ち込みやすくなるでしょう。それにより、意欲の低下やうつ病などを併発するといった危険性も考えられます。
ずっとうつむいてスマホを見ているため血行が悪くなり、肩こりや頭痛に悩まされます。背中を丸めた猫背の状態になり、姿勢が悪くなることもあるでしょう。ひどい場合には、ストレートネックという首の骨が変形した状態になってしまうこともあります。また、スマホに表示される小さな文字を見続けることで目が疲れ、視力が低下するという症状もあります。
これらの症状を自覚し、その原因がスマホの使いすぎだと分かっていても、自分の意志で止められないという人が多いと思います。これは、アルコール・タバコなどに対する中毒症状ととても良く似ています。
依存から脱却するための方法
スマホ依存を断ち切る、または軽減するためには、毎日の生活の中で少しずつ行動を変えていく必要があります。例えば、ポケットにスマホを入れない、あるいはスマホの電源を切るなどして、接触の回数を減らすとよいと思います。インストールするアプリの数を減らすことで、通知や更新のチェック回数を少なくすることもできます。寝室にスマホを持ち込まないようにすれば、朝起きてまずスマホを見るという行為もやめられます。寝る前は本を読んだり、音楽を聴いたりしてリラックスすれば、心も身体も休まるでしょう。
また、スマホを持たない時間を決めてそれを習慣にするというのも効果的です。勉強する時はもちろん、コンビニに行く時は持って行かないとか、食事の時には近くに置かないとか、もっと単純に〇時~〇時はスマホを触らない、などのようにルール化してしまうのです。いっそのこと、スマホを使わない日を作ってみるのはどうでしょうか。意外と、本当に大切な連絡などあまり来ないことに気が付くかもしれません。スマホがないと生活できないという切迫感は、実は自分自身で生み出しているのです。使わないと決めたら、まったく触らないようにして、通知も鳴らないようにしましょう。スマホを手放す時間と活用する時間のメリハリをつけることが、スマホ依存の克服にはとても効果的です。